ハンドロード

スクラップ鉛板から12GAサボット弾実包を作る

スクラップ屋で購入してきた鉛板を溶かす

スクラップ屋で鉛板50kgを1万円で購入。(実際には51kgほど)

薄い鉛板は手で千切ることができるし溶かしやすい。

 

鉛板には白い粉やドロやサビなどが付着しているので、ブラシなどで軽く払っておく。

水分が付着していると鉛を溶かす際に跳ねるので、乾燥させておいたほうが良い。

 

鉛を溶かすのに使用するのは中華鍋とガソリンストーブ、アルミ灰皿、いくつかのトレー、不純物を入れるトレー、オタマと耐熱ブロック。

 

鉛を溶かす前に防毒マスク、ゴーグル(鉛が跳ねて目についた事がある)、耐熱グローブ、長袖長ズボン、靴を装備

跳ねた鉛が少しでも肌につくと熱いというか「痒く」なる。

耐熱グローブが熱を持ってしまうとずっと熱いので、そのような時には耐熱グローブが冷めるまで外した方が良い。

 

鍋を火にかけ最初から大量の鉛を入れてもなかなか溶けない。

 

なので最初は少量の鉛を溶かす。

鉛は千切って細かくしたほうが溶けやすい。

 

溶けた鉛が高温になっているので、投入した鉛の高温に接する面積が大きくなる分だけ溶けやすくなる。

火力にもよるが、あまり溶かしすぎても上部に熱が伝わらなくて溶けなくなるので溶かす量の見極めが必要。

またガソリンストーブは圧力がすぐに弱くなり火力が弱くなるので、定期的にポンピングをしなくてはならない。

頻度は750mlならガソリンがなくなるまでに3回位。

 

不純物は大雑把で良いので取り除きつつ、オタマで鉛をすくい灰皿に鉛を入れて固める。

オタマはこのような物が使いやすい。

 

1灰皿は3オタマ分で、1灰皿の重量は1.2kg位。

 

鉛を全て溶かしたら、不純物として取り除いた物の塊を鍋にかける。

そこから取れた鉛は2灰皿分になった。

残った不純物は砂のようにサラサラ。

 

50kgの鉛から合計42灰皿分のインゴットが作れた。

不純物(ほとんど表面についていた泥など)は1kgもなかったと思う。

 

インゴットから弾頭を作る

インゴットから弾頭を作るのに使用する鍋は「ダイソー」で400円で購入した小さい鍋。

この鍋で3灰皿分の鉛を溶かすことができる。

中華鍋より底の面積が小さい分鉛をすくいやすいし熱も伝わりやすい。

 

モールドには事前にベビーパウダーを付けると、モールドから弾頭が取り外しやすくなるのに加え出来が若干良くなる

しかしモールドが温まるまでに作成した10個位の弾頭は出来が良くないので破棄する。

モールドは鍋に入れて温める事もできるのだが、失敗すると持ち手の木の塗装が燃える。

画像の右手側の持ち手が焦げているのが見えるだろうか?こうなる。

 

良さそうな弾頭ができるまではベビーパウダーは塗さなくても良い。

 

ベビーパウダーは筆で塗るというより盛って、余分な粉は傾けて落とす。

筆で細かく塗ろうとすると、筆がモールドの熱で溶けてモールドにくっつき面倒な事になる。

 

モールドにはオタマで鉛を入れる。

以前はディッパー(下画像)を使用していたのだが、不純物で穴が良く詰まるしモールドに不純物が残りやすい。

またずっと鍋に入れていないとディッパーに鉛が張り付く。

それに比べるとオタマの性能は非常に良い。

鉛は付着しにくいし不純物はオタマ上部に止まるし。(鉛は重いので不純物より先に落ちるから)

 

モールドのロックを木槌など鉄より柔らかいハンマーで叩く。

ゴムハンマーで叩くとゴムが剥がれるので非推奨。

ロックを外したらモールドの側面も軽く叩く。

そうする事によってモールドとピンから弾頭がするりと外れる。

というよりモールドを開けピンを逆さまにすれば弾頭が落ちる。

 

鍋には不純物が出てくるが、神経質に取り除く必要はない。

鍋の端にでも寄せておいて、後ほどまとめて取り除く程度。

オタマで鉛と一緒に不純物を掬ってしまっても、モールドに先に落ちるのは鉛なので問題ない。

この鉛には錫?が含まれていたようだ。

 

弾頭は製造しようと思っている実包数量の2倍程度作っておくと良い。

実包製造を50発しか使用しない場合でも弾頭は100発ほど作っておかないと後で後悔する。

 

作成した弾頭がシワシワだったり、極端に軽かったり重かったりする物は除外しておく。

 

選別した弾頭からバリをカッターで上手に取り除いたら弾頭作り終了。

 

実包を製造する

射撃場などで拾ってきたハルを水で軽く洗い泥などを落としてから「オキシクリーン」に浸けておく。

火薬と雨によるベタベタが取れる。

 

十分に乾燥させる、ハルの中に水が残らないよう傾けると良い。

 

全体的に潰れているようなハルや偽物ハルは排除。

 

選別したハルはケースにまとめておくと良い。

ダイソーのケースは12番用ハルが50個入るので管理しやすい。

 

必要な分(今回は50個)だけのハルから古い雷管をまとめて取り除く

Lee Load All2の雷管が落ちる穴の下に厚紙を突っ込み手前に傾斜を作っておけば、外れた雷管が厚紙を滑って手前に集まる。

通常は次の工程でサイジングリングを外しつつ雷管を取り付ける訳だが、RXPハルではこの時点では雷管は取り付けない。

 

RXPはロンデルの部分が長いのでサイジングリングがLee Load All2だけでは外れないし掴んで外すのも厳しい。

2020/10/17 編集

ハルの口が潰れないよう脚の腿など柔らかい所にハルの口を当てながらゴムハンマーでサイジングリングの隅を尻から叩くと外れる。

ハンマーで取り付けた雷管を叩くと怖いので先ほど雷管は取り付けなかった訳だ。

サイジングリングを少し浮かせたあと、本体とサイジングリングの間に付属していた板などを差し込んでレバーを倒せばサイジングリングは完全に外すことができた。

 

 

50個のハルから雷管を取り除いたら、50個まとめて雷管を取り付ける。

 

雷管を取り付けたら使用済みハルと間違わないようケースに収納。

ケースにはメモを入れておくと薬量を間違わずに実包を作れると思うし、射撃場でもこのメモをみながら実包を取り出せる。

ちなみに12GA用ケースは12GAのハルは雷管が上に来るようにしか収納できないが、20gaを入れる場合には弾頭が上に来るよう入れることができるので雷管取り付け前の工程から完成までこのケースで管理できる。

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弾頭は重さが近い物でグループを作る。

今回は1グループ5個で弾頭重量差は2gn程度。

合計10グループ作成。

 

火薬(今回はLongShot)を0.1gnのズレも無いように正確に計量してハルに入れる。

 

続いてハルにワッズを入れる訳だが、使用済みのハルは入り口が狭くなっているので広げる必要がある。

 

ハルの入り口を広げるに私はBPIのスピンドクターを使用している。

正しい使い方は電動ドライバーなどに装着して回転摩擦熱でハルの入り口を広げるのだが・・・ぶっちゃけると広がらない。

 

私はLee Load All2の真ん中にスピンドクターをセットしてレバーを下げてハルの入り口を広げている、すごく楽。

スピンドクターを奥まで刺すとハルが裂けてしまうので、余裕を残すようにしてレバーを下げる。

慣れればどの程度までレバーを下げれば良いか感覚でわかるようになるだろう。

 

ちなみに、私のLee Load All2はこのような状態。

必要ない物は全て取っ払っている。

スプリングがないので手動で上に戻さないといけないし、戻し方が中途半端だとレバーが手前に落ちてくる。

しかし余計な物がないので使いやすい、20ga用にも1分もかからずに変更可能だ。

 

スピンドクターで広がったハルの口からはワッズがするりと入る。

弾頭も一緒に押し込むのでワッズは最後まで押し込まない。

 

ワッズに弾頭をセットしハルに押し込む。

押し込み加減は体で覚えるしかない。

押し込みが足らないとワッズが火薬に届かない上にスタークリンプが上手く閉まらない(後でクリンプ部分が浮いてくる)。

押し込みすぎるとワッズの足が曲がるし、場合によってはハルも曲がる。

 

続いてスタークリンプを行う訳だが、グリスを弾頭に付ける場合はスタークリンプをする前に。

スタークリンプは6でも8でもお好きにどうぞ。(ハルに折り癖がついていたらそれに合わせる)

 

スタークリンプをフィニッシュ。

若干ワッズ(弾頭)が高いのかスタークリンプの中央に穴が開くが問題ない。

グリスが多いと穴から「ニュルッ」と出てくるので拭き取る。

 

 

最後に一言

散弾銃のハンドロードは人によってやり方がかなり変わるので面白い。

使用する鉛にしてもネットで純度の高いインゴットを購入したりアンチモンを混ぜたり。

非鉛を試してみたり。

クリンプもスターだったりロールだったり。

さらにワッズやガスシール、ハルなど各々こだわりがあるようだ。

ぶっちゃけどのような方法で作成しようが「まとまって集弾すれば良い」

 

私は消耗品にはお金をかけたくないので、どうすれば安く作れるかを追求。

今回作った弾は幾らだぜー、で喜びを見出す。

ちなみにLongShotの値段が近所の銃砲店で1,000円上がって13,000円になってしまった。

33グレインだと2.138グラムだから火薬だけで1発60.6円。

雷管が19円でワッズは税金やら送料など込みで10円位。

弾頭は50kgで1万円なので、30グラムだと不純物を考えても6-7円あたりだろう。

という訳で1発95円だぜ、となる。

しかしハンドロード用火薬の60円というのが全体の足を引っ張っている感が。

60円というと24gの射撃用散弾が火薬と雷管と弾とワッズとハル付きで2つ買えるレベル。

 

Svarogのモールドで弾頭を作る人が多いようだ。

狩猟生活のVol5とVol7でハンドロードの掲載がされていたが、使用しているモールドはどちらもSvarog。

ブログなどをみてもSvarogを使用している人が多いようだ。

Svarogは12GAはデザインがたくさんあるし、スラッグ弾頭の評判が非常に良いのでモールドを揃えたくなる。

専用のワッズも作っていたりして面白い。

しかし注文したのと違う商品が届いたり、DHL指定(到着数日だが配送料2倍以上)で配送をお願いしたのに一般郵便(到着1ヶ月)で配送されたりなどの問題が起きるけどね。

ミスが発覚する度に交渉というか苦情を言っているので英語でのやりとりが上手になったさ。

サポートは良い。

 

クリンプは現状ロールクリンプが難しいので、現在はスタークリンプのみ。

というのもBPIの12GA用と20GA用(各30ドルで送料も同じくらい)を購入したのだがあまりにもク○すぎて綺麗にクリンプができない。

現在ロシア製のロールクリンパ到着待ち。(2個で送料込みで30ドル)

 

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