スラッグ射撃を行う上で困る事のひとつが射撃中にマトが不足する事。
例えば西富士射撃場では2つのマトを無料でもらう事ができるが、以降は有料で購入する事になる。
私は1つのマトには5発程度しか撃ち込まないので、100発撃つ日は20枚のマトが必要となる。
しかし自分でマトを作るのであればマトは1枚あたり20円未満で済むし、マトのデザインも自分好みにできる。
マトの用紙サイズ
A4カラープリンターはEPSONやCANONあたりのインクジェット式の複合機を所持している方が多いと思う。
プリンター本体は1-2万円程度でスキャナーやコピーができる物が多いので、印刷以外にも普段使いできるのでコスパはよし。
インクジェットは純正のインク使用での文書印刷が1枚あたり10円程度なのでやや印刷コスパが悪いのが難点か。
私はCANONのA4複合機を所持しているが、このプリンターは厚紙も印刷できるしPCやスマホとワイヤレス接続できるのでかなり便利だ。
A3印刷機となると一般家庭で所持するのはハードルが高くなる。
本体は大きいので場所もとるし値段も高い、機種の選択肢も少ない。
コンビニでもA3の印刷できるが、残念ながら用紙は選ぶ事ができないのでマトの作成には不向き。
印刷屋に発注する手もあるが、単価を抑えるには大量発注をする必要があるので個人では利用が難しい。
デザイン系の会社務めならA3カラー複合機があったりするので、会社で印刷してしまうという手も。
しかし50mの射撃用であれば用紙はA4で十分。
もし100mで使用したいのであればA3サイズでデザインしたマトをA4用紙2枚に分けてフチなし印刷を行い、A3サイズのマトを作成するといった事もできない事はない。
マトをデザインする
私はAdobeのCCを契約しているので、Illustratorでマトを作成している。
マトを作成する上で重点をおいたのは中心から着弾点までのMOA数が判るようにした事。
着弾点が中心から縦横それぞれ何MOAズレているのか判れば、ゼロインする時にダイヤルでの調整が簡単に行えるからだ。
50mの1MOAの大きさ
1MOAは100ヤードで1インチなので、50ヤードなら0.5インチだ。
しかし射撃場のマトを貼り付ける位置は50mや100mなので、50mなら1MOAは何インチになるかを計算する必要がある。
まずは50mは何ヤードなのかという計算。
google先生で「54.6807ヤード」との答えをすぐに得る事ができた。
Illustratorは単位に小数点第4位までしか設定できないので、1MOAは50mで0.5468インチと設定。
50mのMOAは(自分メモ用)
- 0.5468
- 1.9036
- 1.6404
- 2.1872
- 2.734
- 3.8276
- 4.3744
- 4.3744
- 4.9212
- 5.468
- 6.0148
- 6.5616
- 7.1084
- 7.6552
- 8.202
- 8.7488
- 9.2956
- 9.8424
- 10.3892
- 10.936
上記計算式を元にマトに1MOAの正方形を敷き詰めていく。
実際には1MOAの横幅(縦幅)の長方形、3MOAの横幅(縦幅)の5MOAの・・・長方形などをクロスさせて敷き詰める。
A4用紙には横に13MOA分の正方形を敷き詰める事ができた。
横の余白を考えなければギリギリ15MOAまでいける。
円を描いてみる
円が描画されている方が狙いやすいし、直感的にどこに着弾したかわかりやすい。
中心を狙いやすいよう、紙の中心から半径1MOA(直径2MOA)の大きさの赤円を作成。
赤以外で作成するなら水色やオレンジあたりが見やすい。
ドットサイトで狙うなら直径3MOAにした方が見やすいかも。
中心の赤円に続き直径3MOAの円を0.5MOAの線幅で黒で描画、続いて直径4MOAの白円(というか抜き)を描画した。
以下1MOA増しで黒円、白円と描画していく。
印刷コストを度外視するのであれば、5MOAの円あたりまでは全部黒にした方がマトを肉眼で狙うなら狙いを付けやすいかも。
オマケを付けてみる
円の外側の上下左右から円の中心に向かって太さ1MOAの線を3MOAの長さで描画してみた。
スコープの十字がこの線と重なっていればズレがなく狙えていると行った目安になる。
円の外側の角に上下2MOA分の四角を作ってみた。
この正方形は100mでの1MOAとなる。
その他用紙のスペース左上に自分用のメモ、用紙中央の上に横棒を描画。
さらに用紙中央下側にも横棒を引き、上の横棒から下の横棒までの長さを記載してみた。
某射撃管理アプリ用にと思っていたのだが、肝心のアプリがうまく動作しないので無用となっている。
完成したマトを見てみる
デザインはこのようになった。
このマトはスコープ調整や立射用だ。
着弾点が中心の1MOAの正方形から縦横に何MOAズレているかは正方形の数を数える。
あとはその正方形の数だけスコープのダイヤルをグリグリ回して1MOA単位で粗調整。
その後再び的の中心を狙ってみて、ダイヤルを1/4MOA単位で微調整すればOK。
膝射や座射では上記のマトでは大きすぎてもったいないので、小さいマトも作成。
A4用紙1枚で10発分の射撃が行えるのでエコである。
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マトに最適な用紙を選ぶ
マトに用いる用紙は何でも良いというわけではない。
紙が悪いと着弾点を中心に紙がヒビ割れてしまい、弾痕が近い場合は着弾点の判別がとても難しい。
まずは射撃場で配布されているマトの弾痕をみてみよう。
こちらは長野県営射撃場のマト。
弾は綺麗に抜けているが、弾痕周囲がひび割れてしまっている。
弾痕が近いとやや判別しにくいか。
こちらは西富士ライフル射撃場のマト。
弾抜け時に紙を巻き込んでしまっており、弾痕周囲はひび割れてしまっている
射撃場のマトは比較的良い用紙を使用していると思われるので、これらに近い弾痕になる用紙を使用するようにしたい。
コクヨ コピー用紙 A4 紙厚0.22mm 100枚 厚紙用紙 LBP-F31
初めに購入してみたのはコクヨの0.22mmの厚紙。
厚さが0.22mmあるので弾の抜けは良いだろうと期待。
100枚入りで717円、@7.17円だ。
弾抜けに関してはご覧の通り。
抜ける時に紙を巻き込んでしまっており、ヒビもガッツリと入ってしまうようだ。
これでは近い弾痕の判別は厳しいかもしれない。
上記厚紙をしっかりと100枚消費してから別の用紙を購入してみる事にした。
ちなみに用紙が湿っていると抜けが良いようだ。
ふじさん企画「超厚口」上質紙 180kg A4サイズ 500枚 A4-500-J180
アマゾンにて「ふじさん企画」の0.25mmの上質紙「超厚口」を購入してみる事にした。
500枚入りで2600円、@5.2円だ。
100枚入りだと1090円なので@10.9円と割高。
弾ぬけに関してはご覧の通り
弾痕にひび割れがほぼ発生しないので、弾痕が近くても判別が非常にしやすい。
上記画像では5発の弾痕がはっきり判別できる。
手元にある他のマトも確認してみた。
若干ヒビが入っている物もあったが射撃場のマトよりもヒビは短い。
抜けに関してはほぼ変わらず。
「ふじさん企画」の「超厚口」は射撃場のマトよりも射撃に向いている良い紙のようだ。
コスパも良いしマトで使用する用紙はこれで決まり。
最後に一言
ちなみにREDBIRDのCOMPETITION LOAD 20番の弾痕は15mmなので、50m 1MOAの13.9mmより大きい。
50mに位置するこのマトを肉眼で見ると、黒線、白線が交互に描画されているからかチラチラして見える。
印刷コストは若干上がるが、5MOAまでは中心赤円以外は黒円にした方が見やすくなるかもしれない。
そうなると1MOAの四角が見えなくなるから重なっている部分の線は白くしないといけないので面倒か。
それなら中心の赤円は白抜きにしてコストを下げるのもアリかも。
などと考えるのもまた楽しい。
自宅にプリンターやIllustratorのようなしっかりとした画像編集ソフトがある方は是非とも自作のマト作りをお勧めしたい。
そして良いデザインのマトができたら是非データを下さい。
これらの未だ発展途中のマトはPDF化してみたので、使いたい方はご自由にダウンロードして使ってあげてください。