20番スラッグを比べてみる
20番の射撃用スラッグのハンドロードを始める前にファクトリーロードのデータを取ろうと思い、近所の銃砲店にあった20番スラッグ実包を全種類購入した。
銃砲店で購入できた20番スラッグ実包は下記のとおり。
- REDBIRD COMPETITION LOAD(射撃用)
- REDBIRD FIELD LOAD(狩猟用)
- Rottweil BRENNEKE(ブリネッキ)
- RXP-S RS(国産Remingtonなどと言われている日邦工業の狩猟用スラッグ)
- Remington Slugger
- FEDERAL PREMIUM
ショットシェル の長さなどは統一されていると思っていたのだが、計測してみると各社まちまちだった。
計測に関して
下記に各ショットシェルの長さや重さを計測したデータを記載していく。
小数点以下の数値については計測の仕方で微妙に数値が変わってしまうので、あくまでも参考用としてご覧いただきたい。
長さの計測にはMitutoyoのデジタルノギスを使用、単位はmm。
重さの計測にはHornadyのデジタルスケールを使用、単位はg。
ショットシェル の計測の項目
ショット前全長とはシェルの頭から底までの計測。
ショット後全長とはショット後のいわゆる空シェルの全長。
クリンプはクリンプのやり方がロールクリンプかスタークリンプか。
ロンデル長とはシェルのケツの方についている金属の長さ。
シェル直径はシェルの直径。
ロンデル直径はロンデルの胴部分の直径。
リム直径とはロンデルのさらに下の金属が出っ張っている部分。
ショット前重量とはショット前の重量。
ショット後重量とは空シェルの重量。
弾頭重量とはパッケージに記載されている弾頭重量の事。oz表記されているものはg表記に変換している。
射撃テストの項目
射撃テストで使用した銃はミロクMSS-20スムースボア。
マトまでの距離は50mで、マトの高さは全て揃えている。
ゼロインは50mでREDBIRD COMPETITION LOADにて行っている。
スコープはMarch 2.5x-25x42、25倍でマトの中心をしっかりと狙い撃ち。
銃はCaldwellのLEAD SLED3に依託。
テスト前に10発ほど撃ち込み、銃身内のオイルは落としておいた。
各実包はマトに5発撃ち、5発ごとに銃身内を真鍮ブラシで擦って鉛とスス落としを行った。
その後銃身を冷やすために5分以上放置。
射撃時に飛ばしてしまったパターンもあるので、テストは最もまとまった3発で計測している。
着弾の計測アプリはBULLSEYE。
ヤードとメートル表記が設定してもごちゃ混ぜになる不具合があるが、計測できるだけでありがたい。
弾速の計測単位はFPS。
計測で使用したのはMagnetoSpeed社のV3 BALLISTIC CHRONOGRAPH。
最小、最大、3−5発(計測できない事もたまにあるので)の平均を記載する。
計測した日のコンディション
コンディションの計測はこの機械で行った
天候は晴れ。
風速 0-4.4MPS(ほぼ無風だった)
気温 25.7−25.9度
気圧 919.0MB
湿度 87−92%
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REDBIRD COMPETITION LOAD
ショットシェル の計測
ショット前全長 | 59.20 |
ショット後全長 | 69.45 |
ロンデル長 | 15.0 |
クリンプ | ロール |
シェル直径 | 17.18 |
ロンデル直径 | 17.60 |
リム直径 | 19.30 |
ショット前重量 | 30.10 |
ショット後重量 | 6.20 |
弾頭重量 | 17.71 |
射撃テスト
弾速
最小 | 1574 |
最大 | 1611 |
平均 | 1590 |
REDBIRD FIELD LOAD
ショットシェル の計測
ショット前全長 | 57.35 |
ショット後全長 | 69.43 |
ロンデル長 | 15.50 |
クリンプ | ロール |
シェル直径 | 17.20 |
ロンデル直径 | 17.60 |
リム直径 | 19.29 |
ショット前重量 | 33.180 |
ショット後重量 | 6.270 |
弾頭重量 | 25 |
射撃テスト
弾速
最小 | 1385 |
最大 | 1436 |
平均 | 1420 |
Rottweil BRENNEKE
ショットシェル の計測
ショット前全長 | 57.35 |
ショット後全長 | 67.07 |
ロンデル長 | 9.56 |
クリンプ | ロール |
シェル直径 | 17.17 |
ロンデル直径 | 17.93 |
リム直径 | 19.26 |
ショット前重量 | 31.785 |
ショット後重量 | 5.380 |
弾頭重量 | 24 |
射撃テスト
弾速
最小 | 1380 |
最大 | 1408 |
平均 | 1391 |
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RXP-S RS
ショットシェル の計測
ショット前全長 | 58.88 |
ショット後全長 | 67.68 |
ロンデル長 | 17.30 |
クリンプ | ロール |
シェル直径 | 17.23 |
ロンデル直径 | 17.75 |
リム直径 | 19.26 |
ショット前重量 | 28.440 |
ショット後重量 | 7.745 |
弾頭重量 | 20 |
射撃テスト
弾速
最小 | 1549 |
最大 | 1582 |
平均 | 1567 |
Remington Slugger
ショットシェル の計測
ショット前全長 | 59.81 |
ショット後全長 | 68.58 |
ロンデル長 | 17.27 |
クリンプ | ロール |
シェル直径 | 17.29 |
ロンデル直径 | 17.70 |
リム直径 | 19.28 |
ショット前重量 | 31.370 |
ショット後重量 | 7.80 |
弾頭重量 | 17.71 |
射撃テスト
弾速
最小 | 1525 |
最大 | 1534 |
平均 | 1529 |
FEDERAL PREMIUM
ショットシェル の計測
ショット前全長 | 59.34 |
ショット後全長 | 67.71 |
ロンデル長 | 13.78 |
クリンプ | ロール |
シェル直径 | 17.25 |
ロンデル直径 | 17.62 |
リム直径 | 19.34 |
ショット前重量 | 33.150 |
ショット後重量 | 6.90 |
弾頭重量 | 21.26 |
射撃テスト
弾速
最小 | 1531 |
最大 | 1629 |
平均 | 1573 |
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一覧
REDBIRD COMP | REDBIRD FIELD | Rottweil BRENNEKE | RXP-S RS | Remington Slugger | FEDERAL PREMIUM | |
ショット前全長 | 59.20 | 57.35 | 57.35 | 58.88 | 59.81 | 59.34 |
ショット後全長 | 69.45 | 69.43 | 67.07 | 67.68 | 68.58 | 67.71 |
ロンデル長 | 15.0 | 15.50 | 9.56 | 17.30 | 17.27 | 13.78 |
クリンプ | ロール | ロール | ロール | ロール | ロール | ロール |
シェル直径 | 17.18 | 17.20 | 17.17 | 17.23 | 17.29 | 17.25 |
ロンデル直径 | 17.60 | 17.60 | 17.93 | 17.75 | 17.70 | 17.62 |
リム直径 | 19.30 | 19.29 | 19.26 | 19.26 | 19.28 | 19.34 |
ショット前重量 | 30.10 | 33.180 | 31.785 | 28.440 | 31.370 | 33.150 |
ショット後重量 | 6.20 | 6.270 | 5.380 | 7.745 | 7.80 | 6.90 |
弾頭重量 | 17.71 | 25 | 24 | 20 | 17.71 | 21.26 |
最小FPS | 1574 | 1385 | 1380 | 1549 | 1525 | 1531 |
最大FPS | 1611 | 1436 | 1408 | 1582 | 1534 | 1629 |
平均FPS | 1590 | 1420 | 1391 | 1567 | 1529 | 1573 |
Mean Radius | 0.972 | 1.245 | 2.235 | 1.734 | 2.480 | 3.053 |
おまけ REDBIRD 12GA FIELD LOAD( Remington 870 20inch Deer Barrel)
Remington 870 12GA 20inch Deerバレル、EOTECH EXPS2-0 + EOTECH MAGNIFIER G33(3倍ズーム)
射撃テスト
弾速
最小 | 1373 |
最大 | 1334 |
平均 | 1362 |
最後に一言
Caldwell LEAD SLED3で銃の前後を依託しているからといって、必ずマトの中心を撃てている訳ではない。
上下左右の微調整ができるように遊びがあり、頬付け肩付けもしているから微妙にレティクルはブレる。
そして1発撃つごとにLEAD SLED3の位置はズレるし(銃床の固定部分に衝撃がかかるので)、LEAD SLED3を乗せている机も動く。
だからといって大きく着弾点が乱れる訳ではないのは、REDBIRD COMPETITION LOADの着弾を見て貰えば判るだろう。
完璧なグルーピングデータを取るとなると今の装備では無理。
MSS-20とFEDERAL PREMIUMの相性はあまりよろしくないようだ。
1発隣のRXPのマトに着弾しているし、着弾点が全く読めないのでゼロインできる気がしない。
だからといってFEDERALを嫌いにならないでもらいたい。
FEDERALは値段が安いし、なんといっても火薬の匂いが良い。
12GA870の26インチリブとの相性も良い。
REDBIRDの12GAのマトの弾抜けを見てみると、全ての着弾点が円ではなく雪だるまのようになっているので横転しやすいのかも。
1発は飛ばした。
弾抜けが比較的綺麗なのはRXP-SとRemington Slugger。
RXP-SはまとまっているがSluggerはそれほどでもないので横転の有無で着弾点が大きく変わると考えるのは違うかもしれない。
Rottweilの空シェルが綺麗なのでこれをハンドロードで再利用したいが、射撃場で捨てられている事は稀。
射撃場でよく捨てられているのはREDBIRDかRXP。
ハンドロードではMean Radius 2.0以内を最初の目標として頑張ってみよう。