わな猟は田畑や庭が獣で荒らされているような方、毎日わなの見回りに行く事の可能な環境にお住まいの方におすすめの免許です。
週末しか狩猟にいけない方にはわな猟はおすすめできません、獲物は罠にかかると想像以上に早く死んでしまいます。
わな猟免許の取得は予備講習会に参加すればほぼ合格できる比較的取得が簡単な免許です。
「狩猟読本」と「狩猟免許試験例題集」さえ手に入れる事ができれば予備講習会には参加をしなくても合格できるかもしれません。
わな猟免許取得前でも罠を所持する事は違法ではないので、自宅で罠の操作の練習ができるからです(実技はくくり罠か箱罠)
しかしわな猟が必要とされているような地域の自治体では予備講習会の参加費用は補助金で支給されるはずですので、補助金が出るのであれば参加しない理由はありませんね。
わな猟で捕獲可能な動物
狩猟可能な獣はほぼわな猟で捕獲する事が可能です。
鳥やクマは罠で捕獲する事が禁止されています。
下記に記載されている獣でも、地域によっては捕獲できない場合がありますので注意してください。
- うさぎ
- タイワンリス
- シマリス
- ヌートリア
- イノシシ
- ニホンジカ
- アライグマ
- タヌキ
- キツネ
- テン
- イタチ(オスのみ)
- ミンク
- アナグマ
- ハクビシン
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わな猟で使用可能な法定猟具
くくり罠(くくりわな)
輪の直径12cm以内(クマの冬眠期間中は地域により20cm以内まで許可される)
バネ式以外にも方法はあるのだが、ワイヤーやハリガネでできた輪で足や首や胴体をくくって捕らえるという事は共通している。
くくり罠の捕獲対象は主にイノシシとシカである、小型獣を捕らえるのであれば小型の箱罠のほうが良いと思います。
バネ式のくくり罠はワイヤー・バネ・他を用いた最もメジャーな罠。
構造が単純なので、パーツさえ手に入れば自作も容易です。
自作が面倒な方は完成品を購入する事も可能。
ネットで【罠販売】と検索すればたくさんお店が出てきます。
有名な会社はこちらです。
完成品は数千円~1万円前後。
高い完成品であれば捕獲しやすいという訳ではないので注意したい。
自作する場合は工具を購入する必要があり、パーツもまとめ購入する事になる。
自作は初期投資は高くなるのだが、くくり罠は消耗品なので長くわな猟を続けるのであれば自作できるようにしたい。
罠の設置は獣の通り道の地面に穴を掘って罠を埋める。
獣が罠を踏む事によりバネを縮めている状態を保っていたストッパーが外れ、バネが伸びる事により輪の箇所のワイヤーが縮まり足がくくられる仕組み。
数個のくくり罠をよく使われている獣道の土の中に埋めても全く捕獲できない人もいれば、たった1つのくくり罠を土に埋める事なく家の裏に1日置いただけでも捕獲できる人もいますので奥が深いですね。
バネはコイル式やねじりバネが用いられる。
輪は獣の足を無制限に締め付けないよう【締め付け防止金具】を取り付ける事と、ワイヤーがよじれて切れないよう【よりもどし】を付ける事が定められています。
イノシカは油の匂いがすると道を避けるのでワイヤーの油は良く落としてから使用する事とされています。
箱罠(はこわな)
ワイヤーメッシュで作られた箱状の罠におびき寄せられた獣がトリガーを作動させる事により扉が閉まって獣を罠に閉じ込める。
ホームセンターでも売っている小型獣用の物から罠専門店で売られているイノシシ用の物まであるが、箱罠を自作する人もいる。
小型のものであれば数千円~数万円程度、大型のものになると15万円~20万円前後となる
小型獣用の箱罠は気軽に罠の設置場所を移動できるが、イノシシ用のものとなると容易に持ち上げる事ができないので仕掛ける場所に気を付けたい。
大型箱罠は間違っても許可を取っていない他人の畑や山に設置しないようにしたい。
扉が片側だけの【片開き式】と両側の【両開き式】がある。
両開き式は獣の警戒心が薄まるらしい。
扉は上から縦に落ちて閉まるタイプと、半回転して閉まるタイプがある。
扉が閉まるトリガーの起動は吊るされた餌を引っ張ると起動するものや、地面の板を踏むと起動するものなど。
箱罠に関する特例があります。
囲いのある住宅の敷地内に限り狩猟期間中であればわな猟免許がなくても箱罠を設置可能です。
箱落とし(はこおとし)
木箱の横に穴が開いていて、箱の中のトリガーを起動させると天井が落ちてきて穴から出る事ができない仕組みの罠。
箱落としは天井が完全に下まで落ちて獣を圧死させないようストッパーを付ける必要があると鳥獣法で定められています。
箱落としは売っていないと思いますので自作する必要がありそうです。
自作するのであれば数千円で購入できる箱罠で良いのではないかと思います。
囲い罠(かこいわな)
天井の無い箱罠。
例えば遊休農地の周りをぐるっと鉄策で囲い、1か所だけ扉を付けて開けておきます。
獣が遊休農地のトリガーを起動させたら扉を閉める仕組みにすれば囲い罠となります。
逆に天井を付けていると箱罠と名称が変わります。
囲い罠に関する特例があります。
農林業者が事業に対する獣害を防止する目的で自身の所有する農林業敷地内に設置した囲い罠によりわな猟免許を所持していなくても狩猟期間内であればイノシシやシカを捕獲することが可能です。
禁止されているわな猟
わな猟の基本は錯誤捕獲しても捕獲した獣を無傷で逃がせるかどうかがポイントです。
禁止されているわな猟は捕獲した獣を傷つけたり殺してしまう可能性があります。
トラバサミ
人も傷つける可能性がある非常に危険な罠です。
罠といったらトラバサミを想像する人が多いのではないでしょうか。
落とし穴
無差別で獣を落としてしまうし人が落ちたりしたら危険です。
竹やりを穴の中に設置するなどもってのほかです。
毒物
完全に無差別で殺してしまいかねないので非常に危険です。
ネズミ用の毒エサはネズミ相手だから問題ないのでしょうか?
とりもち
体の自由を奪ってしまううえに、とりもちから獣をはがそうと思っても完全に体からとりもちが取れません。
ネズミ用のとりもちはネズミ相手だから問題ないのでしょうか?
据銃
ワイヤーをひっかけると固定されている銃のトリガーが引かれて銃で撃たれるという罠。
錯誤捕獲どころか人の命にかかわりますね。
戦争映画ではワイヤーをひっかけると手りゅう弾が爆発します。
デッドフォール系の罠
戸板落としやストッパーのない箱落としとしのような獲物を圧死させる罠全般は錯誤捕獲したら無傷では済まないので禁止されています。
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わな猟免許取得までの費用
申請時に必要な書類取得費用等は除きます。
地域により費用は若干異なります。
複数の狩猟者免許所持者は2つ目以降の申請費用等が安くなったりします。
初めてわな猟を始める場合の費用
予備講習会 | 6,000円 |
わな猟免許試験 | 5,200円 |
狩猟者登録 | 8,200円 |
狩猟者登録手数料 | 1,800円 |
合計 | 21,200円 |
猟友会に入る場合
大日本猟友会 | 2,300円 |
県猟友会 | 3,500円 |
地区猟友会 | 4,000円 |
分会費 | 3,000円 |
合計 | 12,800円 |
ハンター保険に関しては猟友会で入れるもの、保険会社の商品などさまざまな選択肢がありますのでお好きなものに加入してください。
わな猟のメリット
18歳からわな猟免許の所持が可能。
24時間罠を設置・撤去する事が可能です。
猟期は11月15日~2月15日+1か月と鉄砲を用いた狩猟よりも1か月ほど長く設定される事があります。
わな猟は銃猟より狩猟可能な地域が多いです。
銃猟免許のように狩猟を行うために別途鉄砲の所持許可を取得する必要はありません。
わな猟を取得するまでの費用は鉄砲を用いた狩猟を行うよりも安く済みます、猟友会費も安いです。
初期投資は罠を自作するのでなければ少額で済みます、くくり罠であれば1個1万円もしないので5個であれば4万円~5万円程度でしょうか。
長い目で見れば自作したほうが良いのですが、最初はプロの作った罠を購入し罠の操作になれたらその罠の作り方で自作すればよろしい。
30個まで罠を設置できるので1日でマルチ捕獲も可能です。
ほぼ無傷で生け捕りができるのはわな猟の最大のメリットです!
解体屋さんは生け捕りじゃないと買い取ってくれないところもあります。
有害鳥獣捕獲・管理捕獲では罠限定の依頼が多いです、住宅地では鉄砲は無闇に使えませんからね。
わな猟のデメリット
くくり罠にかかった大型のイノシシやオスシカの止め刺しが危ない、止め刺し目的で銃猟免許を取得する人もいる。
罠を盗む人がいる、罠をわざと発動させる人がいる。
毎日罠の見回りに行く必要がある。
最後に一言
わな猟は最も獲物を捕獲しやすいので毎日罠の見回りができる環境に住んでいるのであれば持っていて損はしない狩猟免許だと思います。
ただしワナを設置してしまえば目的外の動物も罠にかかってしまう危険性もあります。
特にペットや猟犬が罠にかかり怪我、それが原因で死亡とまでなると多額の賠償金を請求される恐れがあります。
(なので銃猟をしている猟場にはわなを仕掛けない、最悪わなを全部壊されたり捨てられます)
気軽に仕掛ける事ができる罠だけれど、仕掛ける場所は慎重に選ぶ必要があります。
特に管理捕獲でお金が絡むと、無許可で他人の土地にわなを設置したり、他の猟友会の地区に仕掛けてトラブルが起きるなんて日常茶飯事。
(県・市の管理捕獲なので他の猟友会の地区にも仕掛ける事ができるはずだが、実際にはローカルルールで所属猟友会の地区にしか仕掛けられない)
またわなを仕掛ければ仕掛けるだけ獲物を捕獲できる確率が上がりますが、運搬が面倒だからと写真だけ取ってその辺に獲物を捨てるなんて問題外です。
トラブルが起きやすいのもわな猟の特徴の1つですので、ルール(法的には根拠がなくても)を守って猟を楽しく行いましょう。