散弾銃の口径
4番から410番まで数字が大きくなるほど口径は小さくなります。
日本の法律では散弾銃の最大口径は10番(トド撃ち専業漁師用で許可が必要)ですが、一般的には12番が最大口径。
海外で主に使用・販売されている実包の口径は【12番】【16番】【20番】【28番】【410番】になりますが、日本では【12番】【20番】【410番】になります。
【410番】は中古では見かけるかもしれませんが、実包の入手も大変ですので購入控えるのがよろしいかと思います。
口径の大きさのイメージは【12番】は親指・【20番】は中指・【410番】は小指。
英語では12番は12Gaugeや12GAと記載されます。
12番はクレー射撃などでも使用される一般的な散弾銃の口径です。
販売されている実包も種類が豊富で流通量も多いので値段も20番と比べて安いです。
狩猟も鳥猟から大物猟まですべて対応していますので、理由がなければ12番を選択するのが無難です。
20番は12番より火薬の量が少ないので射撃時の反動が少ないというメリットがあります。
銃身なども細くなっている分同モデルの12番の銃より軽くなっている点も見逃せません。(例:BERETTA A400 Xplor Action 12番/3.29kg・20番/2.6kg)
20番は実包内の散弾の数が12番と比べると少ないのでクレー射撃や鳥猟では不利です。
しかし20番のスラッグ弾・サボット弾は弾頭重量が軽く集弾性が高いので遠距離の大物猟では狙った位置に命中させやすいでしょう。
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散弾銃の実包の種類
鉛弾(Lead)が主流ですが、北海道では非鉛弾以外は所持も禁止です。
また環境省は将来的な鉛弾の廃止を検討しているようです。
散弾は対象と距離により使い分ける。
クレー射撃のトラップなら7.5号、スキートやラビットなら9号。
号というのは散弾の粒の大きさの事。
例えば20~30mでカモを狙うなら4号、キジやヤマドリは6号など。
号数の数字が小さいほど粒が大きくなるが入ってる数は少なくなる。
号数の数字が大きいほど粒が小さく入ってる量は多くなる。
射撃用の散弾の重量は24gが一般的(自動装填銃28g、一応32gまで射撃用として売っている)、狩猟では32g以上が使用される。(射撃用より粒が多く入っている)
射撃用の7.5号 24gで狩猟はできないかというと「十分で狩猟でも使える」。
粒が小さいので対象はヒヨドリくらいの小さい鳥にしか使えないと思われるかもしれないが、対象に粒がたくさん入るよう近くでクリーンヒットさせれば鹿でも転ばせられる。
実包の値段
実包の値段は銃砲店により値段はマチマチですが、参考までに。
射撃用散弾(7.5号と9号) 35円~
狩猟用散弾 150円~
スラッグ弾 200円〜
サボット弾 400円〜
銃砲店での実包の販売は1箱単位になります。
スラッグ弾・サボット弾 1箱5発・10発入り。
散弾 1箱25発入り。
ライフルドスラッグ(SLUG)
1粒とも言われているイノシカ猟で使用する弾です。
1発辺り200~300円。
スラッグ銃身での使用か、交換チョーク式であればシリンダーチョークやスキートチョークで使用します。
スキート用上下二連銃でも使用可能です。
スラッグ弾は銃身により相性という物があるので、初めて使用する銃身では入手可能な全てのスラッグ弾を試してみて、一番集弾するものを使用すると良いでしょう。
サボット(SABOT)
ハーフライフル銃専用の弾です。
弾頭はワッズと呼ばれるプラスチックのカップに包まれており、ワッズが銃身内のライフリングにより回転します。
ワッズが銃口から出ると空気抵抗により弾頭とワッズに分離しワッズはそのまま落下。
弾頭だけが回転しながら対象まで飛んでいく仕組みです。
ライフルを所持できないが、100m以上の遠距離射撃を行いたい方はハーフライフル銃でサボットを使用しましょう。
鉛弾は400円~、銅弾は1発辺り600円~と非常に高価です。
バックショット
イノシカなどの大物猟で使用される粒が大きい散弾。
000Bと呼ばれる6粒、00Bと呼ばれる9粒などが使用されます。
12番と20番ではショットシェルの大きさが異なるので、例えば00Bなら12番では9粒ですが、20番では8粒になります。
トラップ銃のようなフルチョークではスラッグ弾が使用できないので大物猟ではバックショットを使用します。
BB
4.5mm(.177)の粒が込められている。
こちらのBはシカのことではなく、大きさの規格を意味している、ball-bulettの略ではないしトイガンで使用されているBB弾(6mm)でもない。
国内における最大の鳥撃ち用の弾。
BBB(0.19)、B(0.17)以降1号弾(0.16)となる。
1号
4.0mm(.158)の粒が込められている。
2号
3.75mm(.148)の粒が込められている。
3号
3.5mm(.138)の粒が込められている。
4号
3.25mm(.128)の粒が込められている。
5号
3mm(.118)の粒が込められている。
6号
2.75mm(.108)の粒が込められている。
7号
2.5mm(.098)の粒が込められている。
7.5号
2.41mm(.095)の粒が込められている。
トラップ射撃で用いられる。
8号
2.25mm(.089)の粒が込められている。
9号
2.0mm(.079)の粒が込められている。
スキート射撃で用いられる。
10号
1.75mm(.069)の粒が込められている。
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用途別の銃身
銃身長が長いほうが遠距離の狙いが安定するので競技や鳥撃ちに向いている、トラップ30インチ、スキート28インチ、スポーティング28インチ。
銃身が短いほうが振り回しやすく藪などにも引っかかりにくいく軽いので大物猟での勢子向き、スラッグ銃身20インチ。
20インチ〜26インチのスラッグ銃身やハーフライフルなどはタツマや忍び猟など。
その他大物猟も鳥撃ちもしたい人向けの交換チョーク式の銃身。
元折式単身銃(Single-Shot Shotgun)
銃身が1本で1発のみ装填できる元折れ式散弾銃です。
元折式は単発で不便なので水平2連や上下2連が存在する訳で、それらより銃身が1本だから軽いというメリットを考えても元折式単身銃所持するのは完全に趣味。
ブローニングが単身銃を生産しているようです。
水平2連散弾銃(Side-by-Side Shotgun )
銃身が2本左右に並んでいて各銃身に1発ずつ装填できる元折れ式銃です。
各銃身用の引き金があるので、各銃身に違う弾を込めて撃ち分けができる。
イギリス紳士のハンティングといえば、ハンティングハットにベストを着こんだファッションで水平2連銃を持って犬と共に猟に出るイメージですね。
映画などで銃身をハーフカットしているものが登場しますが、日本の法律では銃身長が48.8cm以上ないと違法ですので所持する事はできません。
水平2連銃は射撃時に銃身が横にブレるという事で使用者が少ないため大手メーカーは生産を行っておらず、日本で新銃を入手する事は困難です。
水平2連銃を手に入れたいなら中古を探しましょう。
海外ではCZ-USAというメーカーなどが水平2連銃を生産しているようです。
上下二連散弾銃(Over/Under Shotgun)
銃身が2本上下に並んでいて各銃身に1発ずつ装填できる元折れ式銃です。
現代のクレー射撃では上下二連銃が使用されてします。
上下二連銃は使用用途により【トラップ】【スキート】【スポーティング】【フィールド】と種類が分かれます。
各競技を極めたいのであれば専用銃を、1丁でオールマイティーに遊びたいならスポーティング、狩猟用ならフィールド(軽い)を購入すると良いでしょう。
トラップ銃(trap)
クレー射撃のトラップ射撃に特化した造りで、銃を安定して構えられるよう銃身が長くなっています(30インチ)。
トラップ射撃は2枚のクレーが前方に発射されるので、1発目より2発目のほうが狙う距離が長くなります、その為銃口の絞りも上下(3/4・フル)で異なっています。
新銃の値段はピンキリで高価なものになると100万円を当たり前のように超えてきます、中古であれば5万円程度から購入可能です。
スラッグ弾は発射する事ができません。
スキート銃(skeet)
クレー射撃のスキート射撃に特化した造りで、銃を左右に振りやすいようトラップ銃より銃身が短くなっています(28インチ)。
スキート射撃は2枚のクレーが(射台により前後からだったり、左右からだったり)発射されるのですが、狙う距離は短いので散弾がはやく広がるよう銃口の絞りはシリンダーよりも広くなっています。
新銃の値段はピンキリで高価なものになると100万円を当たり前のように超えてきます、中古であれば5万円程度から購入可能です。
狩猟では近距離の鳥撃ちからスラッグ弾を使用しての大物猟まで対応しています。
スポーティング銃(sporting)
最大の特徴は上下の銃身が交換チョーク対応という事です。
猟友会の射撃大会などでは1つの銃だけでトラップ射撃、スキート射撃、ラビット射撃を行うので、絞りを変える事ができるスポーツ銃が有利です。
射撃でも狩猟でもオールマイティーに使用できますが、銃身が長めなのでやや射撃寄のスペックでしょうか。
新銃は20~40万円程度、中古は人気なのかあまり目にする機会がありません。
フィールド銃(field)
スポーティングの銃身長や全長などが短いバージョンといったところでしょうか。
狩猟では少しでも銃が短いほうが軽くて扱いやすいです。
日本ではフィールド銃の購入は難しいようですが、たまに中古で出回ります。
下記ベレッタ・シルバーピジョンのフィールド銃のリンクとスポーティング銃のリンクを比較してみてください。
自動装填式散弾銃(Semiautomatic Shotgun)
薬室に1発・弾倉に2発装填可能で、引き金を引くと次弾がガス圧により自動装填される銃です。
通常はチョーク交換式が採用されていますので、散弾で鳥を狙うもよし、スラッグでイノシシを狙うもよし。
自動装填式は人気がありますので、さまざまな銃砲店で取り扱いしています。
中古も入手しやすいのですが、新しいモデルは新機能(軽くなっていたり、ショックを和らげる機構が進化していたり)が搭載されていますので新銃の購入も検討してみてはいかがでしょうか?
新銃は20~40万円程度、中古は5万円程度~。
スライド式散弾銃(Pump Action Shotgun)
ポンプ式、レピーターなどとも呼ばれています。
薬室に1発・弾倉に2発装填可能で、次弾装填を行うには先台を引いて・戻してとスライドする必要があります。
構造がシンプルなので分解して自己メンテナンスがやりやすく、故障もしづらいです。
先台が少しでも引かれている状態では射撃が行えません、安全装置と合わせてダブルで安全です。
扱いに慣れると自動装填式のように連射可能です。
新銃は15万円~20万円程度、中古は5万円程度~。
ボルト式散弾銃(Bolt Action Shotgun) または ハーフライフル銃
薬室に1発・弾倉に2発(MSS-20は1発)まで装填可能で、次弾装填を行うにはボルトレバーを上げて引いてまた戻して下げてという動作をする必要があります。
連射は苦手ですが、遠距離の大物を1撃で仕留めたい場面ではボルト式銃の選択がベストです。
スラッグ弾を使用したい場合はスムースボアの銃身の銃を使用してください。
サボット弾を使用したい場合はハーフライフル銃身の銃を使用してください。
散弾銃のボルト式は排莢・次弾装填がスムーズに行われない(いわゆるジャムる)事が頻繁にあります。
なので、そのような事が起こると認識した上で使用するようにした方が良いでしょう。
新銃は20万円~30万円程度、中古は10万円程度~。
最後に一言
クレー射撃をやりたいなら競技にあった上下2連を購入するのがベストですが、初めからトラップ一本でやる!という考えの人は少ないと思います。
最初はスポーティング銃を購入してマルチに使用してみてから、やりたい競技専用銃を購入するのも手だと思います。
猟友会の射撃大会も使用できますし。
散弾銃ではどのような狩猟も行う事ができます。
トラップ銃でもバックショットを使用すれば大物猟もできます。
ボルト式のスムースボアでも散弾を使用すれば鳥猟もできます。
人から銃を譲り受けるのも良いのですが、どうせなら自分がかっこいいと思った銃を購入したほうが銃に愛着を持てると思います。
ハーフライフル銃は北海道以外にお住いの方の最初の1丁としてはおすすめしません。
散弾が撃てない(一応撃てる)ので、私ならすぐに飽きて2丁目の銃を購入してしまいまそうです。
1丁でサボットもスラッグも撃ちたいというわがままな人はスライド式のレミントンM870はどうでしょうか?
銃身を交換できるのでサボットも撃てるし、スラッグも撃てるし、散弾も撃てます。
歴史も人気もある銃なのでオプションパーツも豊富です。
狩猟も射撃もやるなら無難に自動装填式でも良いと思います。
ベレッタのA400 Uplandかっこいいです(358,000円)
私はM870とMSS-20の2丁を所持していますが、射撃以外ではMSS-20の出番がありません。