散弾銃用のモールドは今やロシア製がメジャーですね。
現在ロシア製モールドは戦争の影響で手に入れにくい状態ですが、手に入らない訳ではありません。
今回はAS-COMPANYというロシアにあるメーカーの20番Lymanモールドを入手したので、早速12番用のワッズを作成してみます。
3種類のLyman弾頭
Lyman弾頭はLyman社のサボット弾頭の事です、そのままですね。
Lyman弾頭の形状は空気銃のペレット型に近いです。
頭は鉛が詰まっているので重く、三角錐部分は中が空洞になっているので軽いです。
空中姿勢が安定する形状(横転しにくい)なので、平筒で撃ってもそれなりに精度が出る弾頭だと思います。
ロシアメーカーのLyman弾頭というのは、この形状を模倣したものになります。
SvaroghuntのLyman弾頭はMATCH弾頭という名称で、現在私が12番用の散弾銃で撃っているものです。
AS-COMPANYのLyman弾頭はそのままLymanという名称です。
それぞれのLyman弾頭の形状比較
私はLyman、Svaroghuntのモールドも所持しているので、3種類のLyman弾頭の形状を比較してみます。
高さ
Svarog 16.6mm
AS-COMPANY 18.7mm
Lyman 23.2mm
設計的にキリの良い数値にしたいはずなので、小数点以下の長さは0か.5かもしれません。
弾頭重量
Svarog 275 grain
AS-COMPANY 335 grain
Lyman 350 grain
使用する鉛によって微妙に誤差が出るので、実際に出来上がる弾頭は1−2grainはズレます。
私が所持している鉛で弾頭を作成した場合、Svarogだと276 grain、AS-COMPANYは336grainが多く出来上がる傾向です。
キープはSvarogが274-276、AS-COMPANYは334-337grain(337grainも多かった)です。
AS-COMPANY Lyman弾頭を3D CADで設計
3D CADでワッズを作成する前に、まずは弾頭を設計する必要があります。
実際の弾頭をノギスで幅や高さを計測して3D CADに入力していくだけです。
弾頭が出来たらワッズ作成は簡単です、くり抜くだけなんで。
弾頭の頭の形状はSVAROGとAS-COMPANYはとても似ています。
大きな違いは三角錐の高さ位ですかね。
Svarogはワッズの設計(弾頭の形状模倣)に1ヶ月以上かかりましたが、AS-COMPANYは数回の試作で終わりました。
3D CAD慣れもあると思いますけどね。
オリジナルのLyman弾頭は頭も三角錐も縦に長いです。
首の部分も間延びしている感じです
こちら用のワッズを作成するとしたら、若干苦労しそうです。
ワッズを設計するときに、ワッズの内側に弾頭の名称と、使用するショットシェル名を刻んでおきました。
弾頭の名称はともかく、どのショットシェルに対応しているかは重要です。
なんでかというと、私が使用している旧RXP-RSは肉厚が0.75mmくらいあるんですね。
他のメーカーのショットシェル厚は0.6mmが多く、FEDERALの0.55mmのように肉薄のものもあります。
私はワッズやガスシールなどはショットシェルにピッタリ収まるように設計するので、ショットシェルをクリンプをしなくてもワッズなどはショットシェルを振っても簡単には動きません。
が、RXP-RS用のガスシールを肉厚6mmのケースに入れると隙間ができるので、多分ガスが抜ける。
ワッズはクリンプをしっかりしないと、ショットシェルから落ちてしまう。
ワッズの3Dプリントは光造形式のHalot Mage Proで
今回もワッズやガスシール、クッションなどは光造形の3Dプリンタで作成しました。
Bambu lab X1Cという熱溶解方式の3Dプリンタも持っているのですが、造形物の印刷時間を考えると光造形式しかありません。
使用した3DプリンタはCreality Halot Mage Proです。
この3Dプリンタだと1回の印刷にかかる時間は46分だったかな?
一度に50発分のワッズを作成することができます。
一応60発分まで作れるキャパがあるのですが、後処理を考えると50発分が丁度良い感じです。
ガスシールも、クッションも1度の印刷で50発分です。
なので、50発分を作成するなら3回だけ印刷すれば良いので楽です。
レジン洗浄や2次硬化は印刷と同時並行で作業できるので、つきっきりなら4時間かかりません。
使用したレジンはANYCUBICタフレジンです。
AS-COMPANY 20番用Lyman弾頭を12番の散弾銃で撃ってみた
ショットシェルケースは旧RXP-RSです。
なぜ急に旧RXP-RSと記載しだしたかというと、最近売っているRemingtonのRXP-RSはショットシェルが変わったからです。
肉厚が0.75mmから0.6mmになったんですね。
火薬はLongshotを35.0 grainから37.0 grainまで0.5 grain刻みで5発ずつ作成。
雷管はFEDERAL 209Aです。
5発のうち1発は弾速計測で使用するので、精度は4発でみます。
銃はRemington 870とSavage212で撃ってみました。
Remington 870はバレルをHustingsのハーフライフルバレルにEOTECH EXPS2-0 + G33のドットサイト3倍拡大仕様。
Savage212はいつものDelta Opticalの1-6倍ですね。
さて、結果はというとまぁまぁです。
というのも、今回ショットシェルケースの長さを揃えていません。
弾頭の重さもとりあえず仮で作成した弾頭53発のうち50発を適当に選びました。
それでもSavage212の方は35.5、36.0、36.5grainは8点に収まる程度の精度が出ていました。
Remington870の方は、この精度ならレッドバードのスラッグを使うなという感じ。
弾速の方はというと、ショットシェルの長さがバラバラなので、火薬量が多いのに弾速が遅くなるパターンもありました。
1発だけの弾速計測は参考にしかならないですね。
Savageの方は火薬量が35grainから1671-1643-1708-1742-1751 FPS。
Remington870は1665-1684-1688-1747-1691 FPS。
現在の詰め物の組み合わせだと弾速はこんなもんでしょう。
ただし、Savarog弾頭よりAS-COMPANY弾頭は弾頭重量が結構上がっているのに、弾速に差はほぼありません。
ということは、パワーは結構上がってます。
狩猟で使うならAS-COMPANY弾頭の方が良い感じですね。
最後に一言
精度に関してはショットシェルや詰め物でかなり変わってくるので、研究が必要ですね。
弾速もショットシェルケースや詰め物を変えれば上がるはず。
AS-COMPANYで目指すのはLONGSHOT 36 grain で1800FPS、5発全てが9点以内に収まる弾つくりですかね。
というのも、以前作成していたLEE 50CAL 320 (grain)の弾頭はワッズやガスシールなどはBPIのものを使っていたけど、LONGSHOT 36 grainで1800FPS超えていたから。