3Dプリント チラシの裏

2023年の3Dプリンターがすごい(SLA編)

現在SLA方式の3Dプリンタ ELEGOO MARS3を使用していています。

しかしプラットフォームが小さいので、ワッズなどを大量生産するならプラットフォームが大きい8kのSLA方式3Dプリンタが必要です。

 

それにしても最近の3Dプリンタは性能が目覚ましく上がってきてます。

ELEGOO SATURN 8k欲しいなと思っていたら、もっと良いSLAあるじゃないですか〜。

 

SLA方式の3Dプリンタ

SLA方式(光造形)は、底に透明のフィルムが貼られたタンクにUVレジンを入れ、上に設置されたプラットフォームが指定された高さまで下がってタンク内のUVレジンに浸かり、造形物の層の形状になった紫外線をタンクの下から照射し、プラットフォームに逆さまに層を重ねて造形物を作るタイプです。(長い)

 

 

良さそうな点

SLAは複数の造形物を同時に作成できます。

例えばガスシールを1つ印刷する時間(1時間ちょい)と、縦横に100個並べたガスシールを印刷する時間は同じです。(プラットフォームの大きさ次第です)

SLAは大量生産するのに向いているといえば向いています。

 

印刷ピッチを0.01mm〜(通常0.05mmで作成)作成できる3Dプリンタなどは積層痕が綺麗ですが、印刷時間はその分長くなります。

つまり造形時間は縦横のサイズではなく、高さに影響されるのがSLA。

 

 

残念そうな点

プラットフォームに造形物を貼り付けるための土台とサポートの作成はほぼ必須です。

どうゆうことかというと、プラットフォームに造形物を直接貼り付けようとすると、普通のUV照射時間ではくっつきません。(モノによるかも)

プラットフォームに造形物をくっつけるにはUVを長く当てて造形物をしっかりと固める必要があるのですが、UVの照射時間が長いとレジンが太ります。

つまりUVが長く当たった部分は造形物が設計通りにならないし、土台がないと造形物をプラットフォームから剥がすときに造形物が壊れやすいです。

 

SLAは土台とサポートの為に余分な印刷時間とレジンをロストします。

どれくらいの量をロストしているかというと、1回の印刷で使用するレジンの3割を捨てている計算でした。(CHITUBOXのスライス画面でサポートアリとナシで使用するレジン量を確認した)

 

またSLA方式では失敗した造形物は再利用できないので、失敗時のダメージが大きいです。(フィルムも痛む)

 

レジンは特定の樹脂に似せたもの(ABSライクとか)しかありませんので、FDMで使用できる樹脂のような耐久性・耐衝撃性・柔軟性は期待できません。

レジンって硬い割に脆いので、衝撃を加えると突然バキッと壊れます。

 

造形物はIPAなどの純度の高いアルコールで洗浄(水洗いレジンは大したものがないので)し、2次硬化させる必要があります。

つまり余計な手間と時間がかかります。

 

紫外線(UV)で硬化するレジンを使用するので、造形物は屋外での長期間使用には向いていません。

 

印刷するときにレジンが冷えていると上手く硬化しないので、冬に弱いって感じですかね。(寒い時はレジンを温めて使う)

 

こうして書いてみると、SLAとUVレジンってダメなところ多すぎですw

 

 

それでは執筆時点で気になった3つのSLA 3Dプリンタを紹介します。

ちなみに、全ての機種はCHITUBOXというスライサー対応です。

それぞれの機種の詳細情報はリンク先でどうぞ。

 

 

UniFormation GKtwo

 

UniFormationは聞いたことないメーカーでしたが、歯科用3Dプリンターを作っている中国のメーカーだそうです。

 

GKtwoの最大の特徴は内蔵暖房システムです!

設定温度は25°C、30°C、35°Cで、リアルタイム温度がLCDスクリーンに表示されます。

今の時期もそうですが、気温が低いとレジンが上手く固まりません。(今時期はヒートガンでレジンを温めてます)

冬場に3Dプリンタを可動させている時はエアコン付けっぱなし(自分は部屋に居ない)でしたので、電気代がすごいことになってました。

レジンを温めるシステムはPeopolyのForgeなどがありましたが、価格が高くて手が出ませんでしたから嬉しいですね。

 

プラットフォームはかなりの厚みがあり、レジンタンクにプラットフォームの上まで浸らないように設計されているようです。

プラットフォームの上についたレジンをヘラで落とすのは嫌いではないですけどね。

プラットフォームが厚いので、上手くプラットフォームをレジンタンク上で立てかけたりできないですかね?

 

またレジンタンクはタンクは設置面ピッタリサイズだそうで、タンクの脇からレジンがこぼれて設置面に付く心配がなさそう。

またLCDパネルはネジで簡単に取り外せるようなので、もしLCDパネルを交換する必要が出てきた場合も安心です。

 

電源ボタン、USB差し込み口は正面に付いているので使い勝手良さそう。

 

フタは最近流行りのフリップ式で、空気清浄機能もついてます。

 

ビルドプレート、レジンバッドはねじ止め式ではなく、クイックリリース式。

簡単に取り付け・取り外しできそうです。

 

 

価格

168,000円

造形サイズ

228 x 128 x 245 mm

スクリーン

8kモノクロ

露光時間

2~3秒/レイヤー(0.05mm)

XY解像度

29.6μm

公差

±0.1mm

ファイル転送

USB

対応スライスソフト

Chitubox; GKtwo Prusa

 

 

Creality HALOT-MAGE PRO

 

HALOT-MAGEは現時点では発売前の8K SLA 3Dプリンターです。

HALOT-MAGE PROでも税込で10万円を切る価格で、PROにはDynaxモードという高速印刷が可能になる機能あります。

PROのDynaxモードは1時間に最大170mmの造形が可能で、通常造形モードでも約3倍速く造形が可能。

ただし、どんなレジンでも速く印刷できる訳ではなく、高速造形にはCreality社の高速造形用専用レジンをお求めください。との事。

んー、そのレジンを使う予定はないので、TH72レジンではレギュラープリント速度ってことで70mmくらいの印刷速度になるのでしょうか。

 

インテグラル光源 3.0は90% 以上の光の均一性により、ビルド プレートのどこにプリントを配置しても一貫した品質が保証されます。

8000μw/cm²の光強度、標準の405nm樹脂で1秒で層を硬化。

 

PROにはレジンの自動充填・戻し機能を搭載。30分以内に1リットルの樹脂を補充・回収することが可能です。

 

PROは無印より2万6千円(税別)高いけど、HALOT-MAGEを購入する予定ならPROじゃないと意味がない?

 

プラットフォームはガッチリした感じの造りで、軸調整が簡単っぽい感じだけどどうだろう?

 

フタは最近流行りのフリップ式で、空気清浄機能もついてます。

 

電源スイッチは本体背面です・・・

 

CrealityはFDMでも最速印刷モデルを発表していましたが、速さにこだわるメーカーなんですかね?

 

 

価格

88,000円

造形サイズ

228 × 128 × 230mm

スクリーン

8kモノクロ

印刷速度

≦170mm/h

XY解像度

29.7μm

Z軸解像度

0.001mm

光源

インテグラル光源3.0

ファイル転送

USB、イーサネットWIFI、Creality Cloud

対応スライスソフト

HALOT BOX、CHITUBOX pro、Basic、Lychee Slicer

サポート

0.1mm

 

 

NOVA3D Whale3 Super

 

Whale3はSEとSuperが販売されていますが、違いはSuperのフタがフリップ式で、レジンバットに取っ手が付いている事。

価格差が1万円なので、Superを買う方がストレスなくて良さそう。

 

Whale3 SE は COB 光源を搭載している唯一のプリンターでありその光強度の均一性はマトリックス光源よりも優れています、とのこと。

 

レジンの自動供給システムあり。

 

プラットフォームはかなりガッチリした造り。

 

この3Dプリンタも結構良いのですよね、ゴツくて。

 

 

価格

99,999円

造形サイズ

228 x 128 x 260mm

スクリーン

8Kモノクロ

印刷速度

55mm/h

XY解像度

0.03mm/0.03mm

Z軸解像度

0.01mm

公差

±0.05mm

ファイル転送

Wi-Fi、USBメモリ、ワイヤードLAN

対応スライスソフト

CHITUBOX,NovaMaker,voxeldance tango,LycheeSlice

サポート

0.25mm

 

 

番外編 HITRY Rocket1

 

画期的な印刷方法の3Dプリンタです。

FDMとLCDの間の方式って感じ。

この印刷方式はDCLF方式というそうです。

詳しくはリンク先を見てください。

 

印刷速度も300mm/hと劇速です。

 

すごく良い造形方法の3Dプリンタなのですが、残念なのはビルドサイズです。

なんと143x89x150mmしかありません。

 

ただし専用樹脂しか使えません。

 

 

 

 

 

ちょびっと比較

Uniformation GKtwo Creality HALOT-MAGE PRO NOVA3D Whale3 Super
価格 168,000円 88,000円 99,999円
造形サイズ 228 x 128 x 245 mm 228 × 128 × 230mm 228 x 128 x 260mm
XY解像度 29.6μm 29.7μm 30μm
印刷速度 2~3秒/レイヤー(0.05mm) 170mm/h (特定のレジンの場合) 55mm/h

 

 

CHITUBOXでRESIONEの公式設定を使用して印刷速度を調べてみた

CHITUBOXでTH72の公式設定を使用してガスシール(サポートなし)の印刷がどれくらいの時間で終わるのか、調べてみました。

ガスシールのレイヤー数は121です。

現在所有しているELEGOO MARS3との速度比較もしてみます。

 

HALOT-MAGE PROはまだ製品が出ていないのでCHITUBOXもRESIONEも設定がありませんでした。

 

ELEGOO MARS3 UniFormation GKtwo NOVA3D Whale3 Super
印刷時間 27 m 46 s 37 m 41 s 36 m 14 s
露光時間 3.8 s 2.5 s 2 s
初期層の数 5 20 8
初期層の露光時間 55 s 60 s 45 s
遷移レイヤー数 8 0 6
リフト前の待機時間 0.5 s 0.5 s 0.5 s
リフト後の待機時間 0s 0s 0s
リトラクト後の待機時間 2.5 s 2 s 2.5s
初期層リフト距離 2+4 mm 7+0mm 3+6 mm
リフト高さ 2+4 mm 2.5+2.5 mm 3+6 mm
底部退避距離 4+2 mm 7+0 mm 7+2 mm
リトラクト距離 4+2 mm 3.5+1.5 mm 7+2 mm
初期層上昇速度 90&210 mm/min 80&0 mm/min 80&120 mm/min
上昇速度 90&210 mm/min 100&220 mm/min 80&120 mm/min
ボトムリトラクト速度 210&90 mm/min 100&0 mm/min 120&80 mm/min
リトラクト速度 210&90 mm/min 220&80 mm/min 120&80 mm/min

 

 

初期層の露光時間

Mars3 : 5層 x 55秒 = 255秒 = 4分15秒、

GK2 : 20層 x 60秒 = 1200秒 = 20分

Whale3 : 8層 x 45秒 = 360秒 = 6分

 

露光時間 ガスシールは121層(遷移レイヤー数は考慮しないで計算)

Mars3 : 121層 x 3.8秒 = 約460秒 = 7分40秒

GK2 : 121層 x 2.5秒 = 約303秒 = 5分3秒

Whale3 : 121層 x 2秒 = 242秒 = 4分2秒

 

露光時間合計

Mars3 :  4分15秒 + 7分40秒 = 11分55秒

GK2 : 20分 + 5分3秒 = 25分3秒

Whale3 :  6分 + 4分2秒 = 10分2秒

 

印刷時間から露光時間を引くとプラットフォームの上下時間がわかる

Mars3 :  27分46秒 - 11分55秒 = 15分51秒

GK2 : 37分41秒 -  25分3秒 = 12分38秒

Whale3 :  36分14秒 - 10分2秒 = 26分12秒

 

つまり?

GK2は初期層の数と露光時間が長すぎw

初期層問題を改善できればかなり速く印刷できると思うんだが。

Whale3はプラットフォームの稼働時間が長すぎ

リフトの移動距離が長いし、リフトの移動速度もゆっくり目な感じですね。

 

設定をいじればもっと速くなる可能性はある。

 

最後に一言

前回の記事ではFDM、今回はSLA方式のわりと新しい機種と発売前のものも含む3Dプリンタを紹介しました。

 

新しい3Dプリンタを買って何を作るか色々考えたんですけどね。

結局造るのはガスシールとクッションとワッズがメインになりそうです。

これらは射撃場に行く毎に作成するもので、弾は30−50は毎回作成するんですよね。

そうなるとFDMでは作成スピードが遅い気がするので、同時に大量作成できるSLAを購入した方が良さそうだと思いました。

 

ショットシェルのハルは射撃場で使うのに困らないくらい拾えるしFDMの購入は急ぐ必要ないかなと。

え?真鍮でのハル造りですか?

旋盤で同じ筒を作るのが難しいしテーパーかかるしでやめました。

今後M870のチークライザーを自作したり、銃関連の何かを作りたい時にはFDMに手を出すかも。

 

 

で、SLA3機種の中で何が良いかなと思ったんですけど、とりあえず2つに絞ります。

GKtwoとHALOT-MAGE PROです。

 

印刷速度で言えばHALOT-MAGE-PROなんだけど、専用レジンを使用しないと速度が他の3Dプリンタ並(70mm/h)しかでない。

いや、値段がGKtwoの半分で済むというメリットがあるか。

GKtwoの魅力ってレジンが温められるところなんだけど、自作でも温めキットを作れるしな。

 

あと、RESIONEはどの機種も印刷設定が配布されているのだけれど、SIRAYATECHは多分だけどCreality HALOT-MAGE PROしか印刷設定の配布はない

 

という感じだったんで、サンステラでHALOT-MAGE-PROを予約購入してしまいました

発送は6月に入ってからなんで、それまではELEGOO MARS3で凌ぎます。

 

 

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